※このブログでは『低用量ピル・超低用量ピル』のことを『ピル』と呼んでいます。
いきなりですが、ここで質問です。
皆さんはピルに対してどのようなイメージを持っていますか?
そうですね。避妊薬や生理痛改善の薬として認知されていることが多いと思います。しかし、実はそれ以外にも女性にとって嬉しい効果がたくさんあるのです。
今回はそんなピルのメリットについて簡単にわかりやすくお話していきます。
そもそもピルって何?飲んだらどうなるの?
ず・ば・り!ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが一緒になった薬です!
…簡単に言うと、”卵巣から分泌される女性ホルモン2種類の合剤”ということです。
ではピルを飲むことで体内ではどのような反応が起こっているのでしょうか。
ピルのメカニズム
ピルを飲むことで体の中の女性ホルモン量が増加します。それにより脳が「もう十分にホルモンが分泌されている」と思い、卵巣を働かせる指令を弱め、卵胞の発育・排卵を抑制します。そのため、自身の卵巣から分泌される女性ホルモンの量を少なく一定に保つようになるのです。
はい、皆さん不安に感じる部分だと思います。クリニックでもこの不安をよく耳にします。これについては別の記事で詳しく説明する予定ですが、一言でいうと”問題ない”です。
ピルの仕組みも分かったところで、次は本題のピルの効果についてお話します。
ピルの効果
- 避妊
- 生理痛の緩和
- 生理の量(経血量)が減る
- 生理前のイライラ・頭痛等のPMS(生理前症候群)の改善
- 肌荒れの改善
- 月経不順の緩和
- 生理日の調整がしやすい
- 卵巣がん・子宮体がんの予防
- 子宮内膜症の進行抑制と症状改善 等…
以上が主なピルの効果です。
ピルを飲んでいる患者様でも、「そんな効果があったの?」と驚く効果があるのではないでしょうか。
ここから詳しく解説していきますね。
避妊
ピルはもともと経口避妊薬として開発されました。その名の通り避妊法の一つとして用いられています。
女性の体内では、妊娠に向けて子宮の中に血液のベッド『子宮内膜』を作ります。妊娠しなければ子宮内膜が剥がれ落ち、子宮の中を綺麗にします。これが生理です。
また妊娠は、卵子と精子が受精し、その受精卵が子宮内膜に着床することで成立するのです。
前章でお話しした通り、ピルを内服することにより卵巣の機能をストップさせるため、卵胞は育ちませんし、排卵しません。また子宮内膜も薄く保ってくれているため、受精卵が着床しにくくなります。
※避妊効果は100%ではありません。ご注意を。
生理痛の緩和・生理の量(経血量)が減る
そう、我々の天敵、生理痛はなぜ起こるのか…
子宮内膜が剥がれ落ちる際に、子宮は押し出そうとしてギューっと収縮します。そして子宮内膜には痛みの原因物質(プロスタグランジン)が含まれています。この物質は子宮を過度に収縮させ、痛みを増強させる悪者なのです!
ピルを服用することにより、子宮内膜自体が薄くなっている…ということは、生理の量が少なくなり、子宮が押し出そうとする収縮の力も弱まります。また痛みの原因物質の量も少ないため、生理痛が緩和されるという仕組みです。
長く飲み続けていると、出血量が極少量になったり、人によっては出血がなくなる人もいます!心配になって受診される方も結構いらっしゃいますが、それはピルの効果なのです!
PMSの改善・肌荒れの改善
PMSとは『月経前症候群(Premenstrual Syndrome)』の略語です。生理の3~10日前の間に続く精神的・身体的な症状で、生理が始まると減退・消失するもののことを言います。
【PMSの症状】
- 身体症状…胸の張りや痛み、下腹部の張り、頭痛(特に片頭痛)、手や足のむくみ
- 精神症状…イライラ・気分の落ち込み・不安感など感情の起伏が激しい
PMSは自身の卵巣から分泌される女性ホルモンの”波“が原因。
ピルの内服により、自身の卵巣から分泌されるホルモンの量を少なく一定に保つようになります。それによりPMSの症状が改善されるのです。またホルモンバランスの乱れが原因と考えられる肌荒れ改善の効果も期待できます。
生理不順の緩和・生理日の調整がしやすい
ピルを飲んでいる間はピルの周期で生理が来ます。
現在様々な種類のピルがありますが、28日周期で出血を起こすタイプが主流です。
旅行やデート・試験と大事なイベントの日に重ーい生理が来るなんてとんでもない!ピルを飲むことで、月1回のサイクルで生理がきちんとくるので、予定も立てやすいですよね。
また現在は最大120日まで連続服用できるタイプもあります。生理の回数が減る・生理日を調整しやすいという大きなメリットがあります。その名も『ヤーズフレックス』。今人気のタイプです。
私も現在絶賛服用中です。別の記事で詳しく語る予定ですので、ぜひ読んでみてください。
そしてピルを飲んでいることで生理日の調整がしやすくなります。月1で生理が来るタイプでも生理日調整は可能です。処方元の病院で相談してみましょう。
卵巣がん・子宮体がんの予防
お次は怖い怖いがんのお話。
実は卵巣がんは、排卵すること自体がリスクになるのです!衝撃!
子宮体がんの原因は多く存在しますが、主に女性ホルモンのバランスが崩れること、生理を長期間放置することがリスクになるといわれています。
以上のことから、ピルを飲んで定期的に生理を起こし、女性ホルモンの量を一定に保つことで、卵巣がん・子宮体がんの予防につながるのです。
生理不順の方。「3か月以上生理が来ないことなんて普通。生理が来なくてラッキー!」なんて思っていないですよね…?
子宮内膜症の進行抑制と症状改善
子宮内膜症の原因は、主に生理の回数の増加によるもの。
『早い初潮、生理の量が多い・生理の期間が長い(過多月経・過長月経)、月経周期が短い、妊娠や出産の経験が少ないこと』が要因になります。
そのため、ピルを服用することで子宮内膜症の予防・進行の抑制・症状が改善されるのです。
子宮内膜症については別の記事にする予定なので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
今回はピルの効果について簡単に解説しましたが、いかがだったでしょうか。「なんとなく怖い」と嫌煙されがちなピル。実は女性にとって強い味方なのです。女性が”自分らしく、生き生きと生活できる”選択肢の一つとして、もっともっと世の中に広がっていくことを願います。